瀬川麻衣子の木版画は、まるで筆で描かれているかのようです。作家自ら「絵に寄せている」と言っています。それなのになぜ版画という技法にこだわるのでしょうか。彼女は、いつか消えてしまう「日常の愛おしいものや時間」を残したいと思い、メロディーを「音符」に分解するかのように、そのモチーフを「版」に分解し、再構築することで新しい作品を生み出すことができると考えているからです。この機会にぜひご覧ください。
artist note
モチーフとなっているものたちは、流れ続ける時間の中にある愛おしい光景を象徴しています。今ある光景は、いつか、わたしの記憶や夢の中でしか存在しない光となります。それはまるで、Kaleidoscope=万華鏡のようです。外からは見えないけれど、覗いた人にだけ見える光の世界は、ビーズやスパンコールが反射しながら無限に変化し存在し続けます。水性木版多色摺りは、扱われる素材と原初的な表現に内包されるノスタルジックさに加え、伝統的な工芸性ゆえの文脈や制約の上に成り立つ技法と言えます。しかしこの複雑さは、わたしに自由で新しいイメージをもたらし、未来を思考する契機となります。木版のプロセスを経て紙に摺られ浮かび上がったイメージは、時間と感情によって補正された実体のない光の像のようなものです。それらは、いつかわたしの記憶となって現れるものたちを想像させてくれます。
瀬川 麻衣子
【展覧会名】
瀬川 麻衣子 作品展 Kaleidoscope
Kaleidoscope
【開催日時】
2021-06-05 〜 2021-06-20
12:00〜18:00
休館日:火曜日・水曜日
【ジャンル】
【会場】
侶居
rokyo
三重県四日市市朝日町1-13
エリア:愛知県周辺
三重県四日市市朝日町1-13
【Webサイト】
【料金】
入場無料
【詳細】
【お問い合わせ先】
日出
059-340-9172