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小栗みずき個展 「まほうのつかいかた」 感想レポート

 

小栗みずきさんの個展を観てきたので感想を記したいと思います。
といいながら、毎度のことでまずは先にTWしたものを再録して載せます。

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一昨年のグランプリ受賞者の副賞として個展が開催された。
一室を使っての展示だが、窓から外が見える部屋はやや使いづらそうな環境ではあった。
とはいえ、作品の放つエネルギーは相当なものがある。
小品も多かったが、大作は部屋の空気を変える力を見せていた。

作品は鮮やかで透明感のある色使いと、粗い線で構成される図像が大きな特徴。
モチーフは静物と風景に大別されるが、静物の中でも特に果物や野菜が多い。
中心にデンと配されたリンゴは、瑞々しい生命力を湛えている。
玉ねぎの伸びる力も同様だ。

風景はうねる線で構成されて目がクラクラし、 非現実的で夢の世界のようだ。
だが強烈な色と光でそれは生々しさを獲得している。
非現実的でありながら生々しいという奇妙な世界が目の前に繰り広げられる。
そして風景でありながら作品は生命力に溢れている。

会場ではやや過去の作品から近作までが並べられている。
スチレンボードを切って作られた線が絵画表面に貼り付けられた半立体作品や色がやや淡い過去作もみられた。
作品の変遷をたどる良い機会かもしれない。
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構成する粗い線は筆跡ではなく、その太さに描いているというのは、ポートフォリオの部屋の壁に描いた展示からもわかります。
画面に対する線の太さの比率は大画面も小品も同じくらいで、意図して描かれた太さであることを示しています。

小栗みずきさんの絵画はともかく色が鮮やかです。原色に近い赤、緑、黄が線によってグラデーションを持たされ、光輝いているようです。
光というのは大きな特徴のように思います。
時にはじけるような図像も用いられていますが、画面そのものも十分に輝いています。
その作品の前に立つと、その輝きに幸福感を覚えるほどです。
なんとも気持ちが高揚する絵画です。

これが「まほう」の力かと思い知らされる展覧会でした。

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◎展示情報
【展覧会名」 小栗みずき個展「まほうのつかいかた」

【会場」 アートスペースH(愛知芸術文化センター12F)
【開催日時】 2022年12月13日(火)~12月25日(日) 10:00-18:00(金曜日は20:00まで 最終日は16:00まで) 月休

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海牛目(かいぎゅうもく)  ただの美術愛好家  放し飼いと家畜の狭間にtwitterを回遊  展示周りも基本狭間のみ 作り手でもなくコレクターでもなく、自他ともに認める「観るだけの人」 体力の無さには自信あり
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