名古屋の美大ということで、愛知県美術館ギャラリーで開催中の名古屋造形大学卒展を見てきました。
とりあえず、この「卒展」と名のつく展示はなかなか難しい展示だなぁと思います。
出品作家が多くて見る側はどうしたって疲れちゃうし、
展示スペースもどうしたってギチギチになっちゃうし。
自分らがその卒展の中に居るときよりも、見る側でそう実感しています。
そうすると、やっぱり何か抜きに出ていたりしないといけないわけで。
大きかったり、派手だったり、秀逸だったり。
地味でコツコツ細々とした「何か」は見えづらいですよね「卒展」って。
なんだか前置きが長くなりましたが、
名古屋造形大学の各分野は、
日本画、洋画、彫刻、陶芸、コンテンポラリーアート、アニメーション、マンガ、
グラフィックデザイン、イラストレーションデザイン、デジタルメディアデザイン、
建築デザイン、インテリアデザイン、プロダクトデザイン、ジュエリーデザイン
の14分野に分かれています。
しかし、まあ人数比で言えばほとんどデザインです。
感覚比としては全体の8割くらいはデザイン。
いや、デザインを学ぶのはもちろん素晴らしいですよ。
でも僕はどちらかと言うまでもなく美術寄りなので、まあ寂しくも思うわけです。
と、書きながらぜんぜんレポートじゃないですね。
でもまあこんなもんです。展示の観覧をきっかけとした、メンバーの徒然日記です。
でもまあ、何点か作品を紹介。
大学院デジタルメディアデザインの浅野博善さんの
「プロジェクションマッピング技術を用いた仮想現実の仕組み」
美術が~と言いながらいきなりデザインの方から。
これは作品と捉えて良いのかわかりませんが、体験として面白かったので紹介。
波打ち際を撮影したものが壁と床にプロジェクションされているというだけですが、
映像だけであるのに、波引くときの足裏の感触(足裏まわりの砂が徐々に減っていく感じ)がしたという。
もちろん、ハッキリと感じるというわけではないですが、何か追体験している感じで面白かったです。
とはいえ、おそらく一度も海でその体験をしていない人には感じないだろうな、という実感もある。
作品かどうかは本人がどう捉えているか分からないですが、体験してみることをオススメします。
廣瀬美穂さんの「メアリー・スーの逝去」
廣瀬さんはAAT立ち上げ頃に会議に出てくれたりと、いろいろお世話になっています。
いきなり身内感が満載ですが、そんなもんです。
白い布団に縫い付けられた洋服や手紙、お守りなどと、それに花。
彼女の母や兄の存在から発想を得ているこの作品。
やはり最初は葬式をイメージしつつ制作されたそうですが、
途中からそのイメージは緩やかに変わったそう。
会期中は布団に彼女自身も入っているときもあるそうです。
率直な感想を述べれば、なかなか読み取れない部分が多い作品だと。
今回は直接、話を聞いたから分かった、彼女が抱えるバックグラウンドがこの作品では特に重要ではないかと思うのだが、
その情報は見ただけでは分からない。
説明的ではないけども、ヒントや香りみたいなものがもっとあったほうが
作品の厚みを見せることが出来るんじゃないかなぁ。
と、書きつつも、卒展の場所というのは
ささやかな読み取りが出来る環境じゃないんだよなぁと最初に戻るわけです。
AATメンバーとして名前を連ねている、大学院日本画の居石有未さんも出品中。
こちらもお見逃しなく。
名古屋造形大学卒業制作展は今週末19日まで。
詳しくは以下を御覧ください。