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ファン・デ・ナゴヤ2019 「風景をみる/風景にみる」展 感想レポート

 

 

年明け恒例になりつつあるファン・デ・ナゴヤ美術展の、丸山のどかさんの展示を観てきたので報告します。

先ほどは丸山さんの展示と書きましたが、ファン・デ・ナゴヤは企画の公募展ですので正確には「『風景をみる/風景にみる』 企画:小田川祐希 」で、作家:丸山のどかさんの個展形式の展示ということになります。

 

三階(いつもわからなくなりますが、ギャラリーへ上がるエスカレータがすでに二階なんですよね)の大き目の部屋二つを使った、大規模な展示になっています。

(いつもの手ですが)展示の様子も含め、鑑賞直後にTWしたものを転載します。

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二つの展示室にわたって風景が作られている。
手前は屋外の風景、奥は室内風景のようだ。
屋外は、山に囲まれソーラーパネルが並んでいる。山を望む道路には、レシートや領収書が落ちている。

ほぼすべての物が木に色を塗って作られている。
山は裏から見れば板を立てた様子が露わであり、ソーラーパネルも光を受ける側が描かれているだけで、裏は木がむき出しである。
作り物感が満載で、ただ正面あるいは山の内側からの眺めの「風景」である

一方、室内には観葉植物が置かれ、テレビやテーブルの上にはパソコンが置かれている。
それらも木でできており、色が塗られることで植物やパソコンに化けているのだが、こちらは裏に回っても色が塗られており四方八方からみても「風景」が成り立つ。とはいえ、どちらも実物に似せるという感じではなく、割と単純に描かれただけである。
そういう意味では、こちらの部屋も作り物感は共通している。
しかし、こんな適当な(スイマセン)作りでそれっぽく見えてしまうのも不思議ではある。室内に掛かる風景画やテレビあるいはアイパッドにうつる風景が、入れ子状の構造になっているが、この辺りも含め今のところ全く消化できていない。
いましばらく寝かせて様子をみたい。

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その後も頭の中が整理されたとは言いがたいのですが、引っかかっている事柄を書き留めておきたいと思います。

手前の展示室は屋外の風景ですが、時折落ちているレシートが異質な印象を受けます。

山は遠くにあるし、ソーラーパネルは目にすることはあっても身近な物とはいい難いのに対して、レシートは生活の中でありふれているためかもしれません。

隣の室内風景にもレシートは置かれているのですが、こちらは屋外よりは目立たない感じです。

周りが身近なものばかりなために紛れてしまうのでしょうか。

とはいえ、レシートが気になったのは落ちていた場所もありますが、その見た目が本物そっくりだったせいでもあります。

両室に共通していますが、特に室内に置かれている他のものはどれも単純な作りで、実物に似せるような様子はみられません。

しかしレシートだけは、文字が細かく写されており厚みに気づかなければ本物だと思ってしまいそうなくらいです。

文字も判読できるため、買い物の内容までついつい読んでしまいます。

実物に似ていると感じるのはそっくりな外見だけでなく、書かれた文字から想像されるものにも関係しそうです。

他の構成物が「記号的」なのに対し、レシートの生々しさが異質な印象につながっているように思います。

 

今展は「風景」が主題に据えられています、が「風景」というとその言葉だけで色んなものを背負ってしまいそうなので、自分はすごく限定して「目に入ってきたもの・飛び込んできたもの」ということにします。

人は目にしているものの内の一部しか意識しておらず、そうして意識に上ったものかあるいは無意識のうちに記憶に刻まれたものが、その人の「見たもの」を構成します。

目に飛び込んでくるものは、人によってまちまちです。同じ景色を前にしても目に入るものは人によって違ってくるでしょう。

この企画は展示の中にそれぞれの人が何を見たかということも問題になって来そうです。

 

(この展示をご覧になった方は、ぜひ企画された小田川さんに「見たもの」を伝えて欲しいなと思いました。

自分もその辺は知りたいところですが・・・・)

あと、レシートに関しては屋外の部屋のものと室内のものでは、決定的な違いが有ります。

ですが、そのあたりは展示を観た後に丸山さんから直接伺うのがよろしいかと思います。

(もしかしたら、26日のトークで話されるかもしれません。)

26日(土)にはアーティストトークと関連企画が予定されています。

 

会場をあとにしてエスカレータを降りた自分の目に入ってきたのは、ドームへ向かうとんでもない人の波でした。

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◎展示情報

【展覧会名】

ファン・デ・ナゴヤ美術展2019 「風景をみる/風景にみる」

 

【会場】

名古屋市民ギャラリー矢田 第2-3展示室

 

【開催日時】

2019.1.10(木)~27(日) 9:30-19:00(日曜 17時まで) 月曜休館

 

・アーティストトーク 26日(土) 14:00-

 

・関連企画:7th deep night アートをはなそう 26日(土) 18:00-19:30

場所 アートピア 7th Cafe (ナディアパーク デザインセンタービル7階)

 

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海牛目(かいぎゅうもく)  ただの美術愛好家  放し飼いと家畜の狭間にtwitterを回遊  展示周りも基本狭間のみ 作り手でもなくコレクターでもなく、自他ともに認める「観るだけの人」 体力の無さには自信あり
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