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「場」展 レポート

こちらのサイトに投稿もされている、愛知県美術館ギャラリーで開催中の「場」展を観てきました。

会期が短いのと投稿の方にトークの告知がないという大義名分を言い訳に、感想はtwitterから転記させていただきます。

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「波止場」と「MIKAWAYA」を運営する作家が、同じように各地で自分の「場」を持つ人や展示したい作家を選んでのグループ展。 一応「場」というテーマは設定されているものの、展示から統一感は見られずむしろバラバラで野放図な印象。おそらくはそれも想定内のことでもあろうし、実際そのてんでんばらばらなところがかえって各作家の個性を露わにしていたように思う。 ただ、改めて眺めると美術館の展示室は天井が高く、大画面の油彩でもまだ小さく感じる。

それぞれのホームではとても入らない大作が展示できる一方で、作品の圧を展示室の中心部にまで届かせることの難しさも感じられた。 これは単純に展示の「場」の差だけの話で、一鑑賞者からすると「場」を意識させられたのはこれくらいかもしれない。

各作家の作品を観てゆくと、 織田真二作品は、円形のアルミの板に折り目がつけられており、その折り目による面で若干の色の変化がもたらされ、影ができているように錯覚する。 支持体と図像により生じる絵画空間の揺らぎが、心地よさと奇妙さを醸していた。

山口麻加作品は微妙な紙の凹凸も重要なためどうしても近寄って観がちであるが、遠くからの眺めは改めて色づかいの繊細さも感じさせた。

前川祐一郎の油彩に関しては、特に大作に豊かな空間が感じられた。今回は絵具を塗っていない小品が逆に気になった。告白すれば、前川作品はsee sawの展示でも圧倒されたのだが、どこがどう良いのか未だにうまく言葉にならない。今回についても情けないが「大作が良い」としか言いようがない。

小野冬黄は立体作品ではあるが、化粧板の表面も重要な要素となっている。

清田泰寛作品は、文字と記号を取り込んだ絵画だが、画面の多くを占める黒が、筆の勢いも相まって強烈なインパクトをもたらしている。

澤田華作品は、元の写真にみられる訳のわからない形を様々に解釈している。その実体化が、単なる想像を超えたものになる

岩名奏岳作品はこってりした具象の油彩だが、そこに表された光景はまさに(なにかはわからないが)「現場」といった空気を漲らせている。このなにかわからないところが実際はもっとも重要な部分なのだが、これまた容易に言葉にできないところでもある。

駆け足で各作家の作品にも触れたが、寝不足のせいもありいささか雑なのは否めない。 是非ともこの「場」に足を運んで、自身の眼で確かめていただきたいところである。 17日(金)18時より展示室で作家によるトークが開かれるとのこと。展示は19日まで

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トークの進行役はシークレット・ゲストの方がつとめるとのことで、こちらも気になるところです。

展示の「場」の様子が伝わったかどうかいささか不安でもありますので、気になる方は是非実際の「場」に足をお運びください。

急場しのぎのレポートで申し訳ありません。この場を借りてお詫び申し上げます。

 

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◎展示情報

【展覧会名】

「場|BA」

【開催日時】

11月14日(火)~19日(日)

10:00-18:00(17日(金)は20:00まで、19日(日)は17:00まで)

出品作家によるトーク

17日(金) 18:00 – 19:30

【会場】

愛知県美術館ギャラリー J  (8F)

 

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海牛目(かいぎゅうもく)  ただの美術愛好家  放し飼いと家畜の狭間にtwitterを回遊  展示周りも基本狭間のみ 作り手でもなくコレクターでもなく、自他ともに認める「観るだけの人」 体力の無さには自信あり
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