NODA CONTEMPORARYで開かれている稲田翔平さんの個展を観てきました。
会期終了目前ですが見逃すと後悔するような展示だったので手短に感想(と宣伝)を…
(実はDMを見て「あぁ幾何学抽象ね」と決めつけ会期中に行ければいいなぁ程度に考えていたのですが、先日ツイッター上で今年の春に開かれたグループ展での作品の感想を見てしまい、絵画ヲタクの自分は矢も楯もたまらず駆け付けたというお恥ずかしい話で)
感想をと書きながら大急ぎで投稿したいこともあって、例のごとく鑑賞直後のTWを編集して再掲します。(今回はあからさまに手抜きです。)
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DMでド根性絵画説に二回とも参加していたことを知ったのだが、作品が思い出せなかった。
ともかくも初個展は幾何学的抽象の様相を見せている。
だが、やはりそこはド根性絵画の作家。
いくつもの要素が平面から逸脱する気配を見せている。
まずは幾何学的抽象の外観として、直線で区切られた色面の組み合わせで画面が構成されている。
矩形に斜めの線が組み合わされ、透視図法で描かれた箱か部屋あるいは街並みがいくつも重なっているようにも見える。
色面は筆跡もなく平坦に塗られている。
色の組み合わせも調和が図られているようだ。
これだけであれば品の良い洗練された絵画だが、特に目新しくもない。
そこに違和感が生じるのは、色面を区切っている線の存在である。
色面同士は太目の線で区切られているが、色面が真っ平であるのに対し、線ははっきりと盛り上がりを見せている。
線の色や質感も、色面がマットな表面であるのに対し、つやつや、てかてかしていたり、少し光る画材が混じっているようにも見える。
色面の組み合わせや透視図法による奥行きが、区切り線の物質感で画面の表面に引き戻される。
線はおおよそ直線ではあるのだが、ぐにぐにうねっていて、均一に塗られた色面に対し手書きであることが強調される。
しかしなにより特徴的なのは、色面のいくつかが口を開け、紙や焼き鳥の串が顔をのぞかせている所である。
良く見れば色面に同形のキャンバスがもう一枚重ねられポケット状になっている。
鑑賞者はポケットから紙を取り出して観ることができる。
広げてみると、紙に描かれたドローイングで、キャンバスと同じような形が線で描かれている。
挟まれているドローイングは、キャンバスの図像と関連している場合もあるが、文字だけのものもある。
作家の名前が掛かれていることも多く、これは作品のサインなのかもしれない。
他にも「描く」ことに関する言葉が断片的に見受けられる。
ドローイングの支持体は腰のない紙ナプキンのようなもので、折りたたんでポケットに戻す時にクシャっとなってしまいそうで怖い。
キャンバスの布というのは結構丈夫なものだなと、あらためて思ってしまった。
他にも意外な構造の作品群が観られるが、あとは会場で実際に観ていただきたい。
平面を逸脱しつつも「絵画」あるいは「描くこと」を追い求める真摯な姿が、遊び心の奥から覗いているようだ
キャンバスが張られた木枠の厚みなども、「絵画」を成り立たせている条件を見直させるものだろう。
今展も見ごたえがあったが、この先もさらに楽しみである。
会期は13日(土)まで。
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TWが長くなりすぎたので省略しましたが、展示会場には他にボール紙を組み立てて箱状にした表面に描いた小品(これにもちょっとした仕掛けがあります)や、隅には木でできた隠れ家(内側に映像)のようなブースもあったりで、とても一筋縄ではいかないものになっています。
これはギャラリーの方に伺ったのですが、通常ノダさんでは展示室にテーブルと椅子が置かれているのが、今回は稲田さんの希望でメインの展示室から出されていたそうです。(自分がお邪魔したときにはテーブルだけ戻されていました)
部屋には結構な量の制作メモやA4サイズくらいのドローイングが床に積まれていて、そちらもお客さんにじっくり読んでほしいということでテーブルは戻されたようです。
とはいえ相当な量と殴り書きのような字だったため結局全部に目を通すことはできなかったのですが、「描くこと」や「絵画」への思いがずしりと感じられました。
周りの作品たちに遊び心や仕掛けが満載なだけに、対照的とも思えるメモがなおさら重たく響いてきたようです。
どうもいまだに動揺していたり浮足立っていたりで、うまく言葉にできずなんとも締まらない文章になってしまいましたが、「絵画」にこだわりがある人は観ておいて損はないと思います。
一度騙されたと思って行ってみてください。
(作品にはダマされるかもしれませんが…)
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◎展示情報
【展覧会名】
稲田翔平 展 「STAR ARROW」
【会場】
NODA CONTEMPORARY
【開催日時】
2019年6月21日(金)~7月13日(土)
営業時間11:00-18:00
※日曜、月曜 休廊