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植松ゆりか個展 「STRAY GEEP」 感想レポート

瀬戸市のcafe Barrackにて開かれている、植松ゆりかさんの個展を観てきたので報告します。

cafe Barrackさんは古い建物を再生したカフェ&ギャラリーということで、手前がカフェスペース、奥が展示スペースになっています。
あたたかな雰囲気のカフェを通り抜けて展示室に入ると、やはり再生した建物だからか壁や天井に癖を感じる空間になっています。

展示に関しては(いつもの手ですみませんが)先にTWしたものを転記します。

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展示室に入ると、ヘビの開き(ぬいぐるみ)が出迎えてくれる。
いや、完全に開きにはなっておらず、腹は中が見えるが頭と尻尾は閉じている。
とはいえ皮は裏返しになっており、中身が露出している部分が本来の表のようで、色も鮮やかでふわふわしている
 
壁にはヘビだけでなく、タカやシロクマ、マナティ、ライオンなどの動物のぬいぐるみが掛かっている。
 よくみれば元が何かはわかるものの、皮の半分以上は裏返っておりさらに白いシリコンで固められている。
 縫い目がむき出しになっており、なんとも不気味な感じ
 
 一つの壁には、熊の敷皮のようにぬいぐるみの皮(?)が開かれて平らになった形状で掛かっている。この作品は裏側だった面にシリコンが塗られたうえ、木の珠をつないだ飾りがついている。
 不気味な皮が、装飾を施され変身したようだ。
 
 裏返しと元の表面が混在しながらも、縫い合わされたぬいぐるみは立体的なためか、生命感とまではいかないが存在を感じさせる。
 元の(おそらく)カワイイぬいぐるみとは全く異なる容貌ではあろうが、これらもたしかに「生き物っぽさ」を持っている。
 
 この異形の動物たちにはそれぞれ後光のような金色のわっかが頭につけられており、それがこの存在を祝福しているように感じられる。
 不気味でありながら聖なる存在でもある、なんとも奇妙な動物たちである。
 
 人間も裏を返せば見た目不気味だし、外面は取り繕っていても腹の内は黒々としているのではなかろうか?(それは自分だけか)
 植松作品は、カワイイ外観のぬいぐるみの中身を露出させることで、秘められた内側を曝け出す。
 
 だがそれもひっくるめ祝福されてもいる。祝福と言おうか尊厳と言おうか、ともかくそのままで良いといわれているような気がするのだ。
 それはどす黒い心根を隠し持つ自分が肯定されているようで、なにかしら救われた気分になる。
 
 外観も含めなかなか言葉では説明できないので、実作を観て欲しいところ
 グロテスクなぬいぐるみに囲まれながら、心が浄化されてゆくような不思議な体験だった。

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TWしてからやや時間が経ってみると、書き漏らしたものやちょっと印象が変わってきた部分もありますので、その辺りを以下に書いてゆきます。

TWでは十分に触れることができなかったのが、ぬいぐるみの表面に塗られたシリコンです。

実際目に触れる部分としては最も面積が多く、大部分がシリコンに覆われているものもあります。
白い色なため作品は全体に白っぽくなりわずかに元の動物の色が覗く程度なのですが、元の表面はフワフワとしているせいかよく目につく一方でシリコン部分は目立たない感じです。これは元の動物がなんなのかをつい探りたくなるからかもしれません。

再度確認すれば、作品は動物のぬいぐるみを解体し、一部の皮(?)は裏返されてまた縫い合わされていますが、シリコンは裏返された部分に塗られているようです。
ぬいぐるみの外観は縫い目もむき出しで、フワフワとややテラっとした白の皮のつぎはぎです。

当初は元の動物の内側がむき出しにされていると思ったのですが、内側だった面はシリコンに覆われて隠されています。
白いシリコンはこの生き物(?)に与えられた新しい皮膚なのかもしれません。

それらはもはや、かつてクマだったとかゾウだったこととはなんのかかわりも持たない、
つぎはぎの外観が本来の姿であるぬいぐるみとして堂々と存在しているようです。
この「堂々と」という印象は、頭に配された金ぴかの後光も一役買っていそうです。

展示を観終わりカフェを後にしてからちらっと、「はてあの建物、元はなんだったんだろう?」とも思ったのですが、
それもどうでもいいことでしょう。

素敵なカフェとアートスペースがある。ただそれだけで充分な気が今はしています。

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◎展示情報

【展覧会名】

植松ゆりか 個展 「STRAY GEEP」

【会場】

Art Space & Cafe Barrack

〒489-0814
愛知県瀬戸市末広町1-31-6

【開催日時】

2020年3月19日(木) – 4月19日(日)

木・金 11:00 -18:00
土・日  11:00 -19:00
月火水定休

4月19日(日) 19:00 – クロージングパーティー

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海牛目(かいぎゅうもく) ただの美術愛好家  社畜と家畜の狭間にtwitterを回遊  展示周りも基本狭間のみ 作り手でもなくコレクターでもなく、自他ともに認める「観るだけの人」 体力の無さには自信あり
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