2012年から4年にわたり福島の風景を撮影してきた成瀬友彦さんの初の展覧会とオープニングに行ってきました。想像していた以上に沢山の方が来られていて、皆さんの関心の強さが感じられました。
展覧会の案内状の写真は、一見するとそれは震災後の風景とは思われない写真。テキストを読んで、理解する事実との差異に惹かれるのだろう。
皆さんが帰った後のスリッパが物語る。。。
東日本大震災によって福島第一原子力発電所事故が起きた。展示には原発事故後、避難指示解除準備区域になった人気のない風景写真がならぶ。
小学校の写真が何点か並んでいて興味を持った。
カメラを持ち、小学校に導かれるように行き、見えてきたのは、山奥の小さな木造の建物を想像していたのとは異なる、原子力発電所建設の恩恵で建てらた、モダンな小学校が立っていたという。
そこには、さっきまで子供達が校内で遊んでいたような存在感のある、不在となった場が広がっている。時がたち雑草が生えお花畑の様な写真もある。そこは楽園なのではないだろうか、と感じてしまう。
小学校という場所には誰しもが思入れがあり、何かを想起される場所であって、写真から様々なものが読み取れる。丁寧に切り取られた写真は、悲惨な状況を悲惨なまま、伝えるジャーナリストの写真とは異なり美しい。
でもその美しさは恐ろしい。
美の中には、目に見えない、なにものかが潜んでいる。
表面的に刺激のあるものや、ただただ綺麗なもの、考えぬかれたキッチュさを取っ払らって、見つめる眼差しの先に美はやどるのだろう。
避難指示解除準備区域は先日、解除された。
この地で写真を撮り続けるとしたら、どの様な写真になるのだろう。と、予測不可能な未来を想像してみた。
展覧会は4月16日(日曜日)まで。
オープニング後に歓談するL gallery の小島さんと成瀬さん。