名古屋造形大学 学生企画スペース【13】で開かれた中居真紀さんの個展の感想を報告したいと思います。
展覧会はすでに終了していますが、会場の紹介もかねてのレポートです。
名古屋造形大学は今年4月にキャンパスが移転し、地下鉄名城公園駅のほぼ真上にやってきました。
今回の展覧会はそのキャンパスの一角で開かれたものです。
地下鉄からの階段を上がると、真新しい斬新な建物が目の前に現れます。障子とサイコロを合わせたような、四角が目立つデザインのキューブが敷地内に点在しており、その一つが今回の会場でした。
同じようなキューブでも広さや天井高に差があったのですが、今回の会場は特に天井の低さがちょっと気になるスペースではありました。
感想の方は毎度のことながら、以前ツイートしたものを再構成して載せます。
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壁にはキャンバス作品とドローイングが交互にかかっている。キャンバス作品の方がサイズは大きいが、天井高があまりない会場のためか大作というほどではない。
キャンバスにアクリルで描かれた絵画作品は、角の取れた黒い石のような矩形が並んでいる。いや、黒にほとんど近いが幾つかの色が重ねられている様子が、背景の薄い青との際から覗いている。背景と書いたが、中央の形を残して薄い色を塗り重ねたようである。
黒い矩形も何重にも重ねられた色、特に図像の端部に覗く色の複雑さが奥行きを生み出している。
背景の薄塗りの筆触の繰り返しも、色面に空間を生じさせる。
背景が白で緑の図像が中央に描かれた作品は、尖った平行四辺形の周りに塗りつぶされた色帯が垣間見える。
こちらの作品もやはり、平行四辺形と白の隙間に色が集積しており奥行きが生まれている。
背景の塗りは異なるが、どちらの作品も絵具が重ねられることで空間が生まれている。
ドローイングは、鉛筆やペンの線画と絵具の色の帯とクレヨンの色面が重なり合い、交差している。
異なる画材と色の重なりが、時々で異なる表情をみせるのが興味深い。
作者の意図するところは掴みかねたが、絵画のあらわれ方のいくつかを垣間見ることができた。
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読み返してみるとずいぶん言葉足らずで冷や汗がでますが、鑑賞直後の印象はこんな感じだったのでしょう。
ただ今思い出しても、キャンバス作品は時間をかけてかっちりと描かれ質の高さを見せていたように思います。
一方のドローイング作品は実験的に始められたものだそうで、種類の異なる画材を重ね合わせた時の多彩な表情を作者も楽しんでいるような感じを受けました。
実はこの展示は二部構成で、今回造形大キャンパスで開かれたのは前半ということのようです。
後半は副題が「-もうすぐ着きます-」となっており、8月16日から21日まで市民ギャラリー矢田 展示室7で開かれることになっています。
広さもですが天井高がたっぷりとある会場で、今回よりも大きなキャンバス作品が観られる(と聞いていますが)のは非常に楽しみです。
丹念に塗り重ねた図像と背景、さらにその境界の隙間が、どんな絵画空間を生み出すか、今から期待してしまいます。
また、ドローイングは果たしてどんな展開を見せてくれるのか、こちらも気になるところです。
LINEの返事のようなタイトルを読みながら、「まだ来ないかなぁ」とやきもきしているところです。
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◎展示情報
【展覧会名】
中居真紀個展 「明日15時にテレビ塔でお願いします。-今向かっています-」
【会場】
名古屋造形大学 学生企画スペース【13】
〒462-8545
愛知県名古屋市北区名城2丁目4番1
【開催日時】
2022年7月12日(火) – 7月17日(日)
*後期
「明日15時にテレビ塔でお願いします。-もうすぐ着きます-」
【会場】
市民ギャラリー矢田 3F 展示室7
〒461-0047
愛知県名古屋市東区大幸一丁目1番10号カルポート東
【開催日時】
2022年8月16日(火) – 8月21日(日)
10:00-19:00(最終日は17:00まで)