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「町を紡ぐ 景色を織る 日々を縫う」展 感想

長者町で開催されている「町を紡ぐ 景色を織る 日々を縫う」と題された展示に行ってきました。

展示が行われているビルは去年あたりは「綿覚ビル」という名前だったように思いますが、いつの間にか「長者町コットンビル」に名前を変えています。

展示も具合の良いことに綿にまつわる内容でぴったりといえましょう。

今展は神村泰代さんの個展ともいえますし、参加された皆さんの成果報告とも取れますが、とりあえず「綿」が主役であることは確かでしょう。

もちろん神村さんが企画の発端であり、まとめてこられたのは間違いありません。

さて、会場には綿の種を育てた人たちの映像や、それぞれの記録写真、そして綿の花の束が空間に配されています。

綿の花を実際に観るのは初めてですが、ぱかんとはぜて中からぽやぽやと膨らんでいるところは不思議さとともになにかほっとするものがあります。

他に綿の花を大写しした写真が壁に貼られていますが、これが妙に生々しくてぞくっとしました。

会場に下がっている綿の束の多くが枯れていることもあるとは思いますが、映像や写真の方が生っぽいのも奇妙ではあります。

しかしこの企画の芯は綿花にあるのではなく、種を配る人、それを育てる人、綿の過ごした時間など、いくつもの過程と連関であると思えば案外納得がゆくような気もします。
今年はコロナの影響でワークショップなど実現できなかったものも多かったそうです。
でもこの営みは来年もそれ以降も続いてゆくことと思いますので、落胆する必要はなさそうです。

トリエンナーレは長者町から去ってしまいましたが、人をつなぐ美術が根を下ろしたことがうれしく感じられたのでした。

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【展覧会名】

長者町コットンプロジェクト 「町を紡ぐ 景色を織る 日々を縫う」

【会場】

長者町コットンビル グラウンド

名古屋市中区二色2丁目11-24

【開催日時】

2020年11月17日(火) – 29日(日)

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海牛目(かいぎゅうもく)  ただの美術愛好家  放し飼いと家畜の狭間にtwitterを回遊  展示周りも基本狭間のみ 作り手でもなくコレクターでもなく、自他ともに認める「観るだけの人」 体力の無さには自信あり
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