愛知県芸サテライトギャラリー:SA・KURAにて行われている「昨日と同じ未来に」展を観てきたので報告します。
若い作家さんの三人展なのですが、前回お邪魔したのが寺内曜子先生の退任展だったのでおもいっきり雰囲気が違って面白いです。
会場一杯にひろがる展示は良くも悪くも固まっておらず、放っておいてもおそらく昨日と同じにはならないだろうなぁという印象でした。
入口からいきなり目に入ってくる、巨大な「も」の字は杉浦由梨さんの作品(の一部)です。手前の壁には、他にも「く」、「に」とともに過ごす様子が映像で流されています。
「も」の横にはこの作品に至る経緯が漫画になっておかれています。
ややこしいですが、杉浦さんは漫画家になりたいらしく、この展示も題材の一つのようです。
いや、媒体や作品形式を定めることは難しく、すべてが一つの表現の部分といった方がよさそうです。
奥の、桑原春香さんの展示は、紙に描かれたドローイングが壁一面に貼られて、つなげられています。似たような線だったり全く違う面だったり、規則性は見られませんがその気ままさが心地よく感じられます。
ただ、あまりに野放図な取り留めのなさに、ちらっと不安な気持ちが芽生えます。
神尾晶さんの作品は、キャンバスに油彩で描かれた絵画で、この会場にあっては最も落ち着いて見えます。
しかし、実際には描き方であったり描かれる対象、図像は様々でやはりのたうっているように感じられました。
展示は三者三様にそれぞれが表現に向かい合ってもがいている様子が迫ってきます。
未来は見通すことができないだけに不安がつきまとうものです。
がしかし、未来ある若者の展示は大いなる可能性も感じさせ、まぶしくもうらやましいものですらありました。
会場を出て早速明日のことを考えている自分は、昨日と同じ未来を前提として惰性で生きていることを痛感させられたのでした。
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◎展示情報
【展覧会名】
神尾晶・桑原春香・杉浦由梨 三人展「昨日と同じ未来に」
【会場】
愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA・KURA
【開催日時】
10/17(木)〜11/4(日) (OPEN 12:00 / CLOSE 19:00)