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「コヤギ brass tomb展」at「大須モノコト」report and review

コヤギ「brass tomb」展

2021年 8月11日(水)〜9月5日(日) 大須モノコト(本店)

 

 

【Report】

展示会は8月11日(水)からになりますが、

先日、一足お先に展示会を鑑賞させていただきました。以下、レポートとレビューになります。

 

 

特に去年の春先から新しい真鍮作品をたくさん観させてもらいました。

これまでの図案からの制作だけではなく、

即興でも制作していたそうです。

そのせいか短期間でもテンポよく作風が変化しているように感じました。

 

時期によってはデザインの風合いはどこか異なるものの、

時間経過とともに並べられた作品を眺めると、

やはり一体感があり根底ではシッカリつながっていることに気づかされます。

 

姿形は少し違うけれども、

それはなんだか同族の生き物たちがどんどん集まってきているユニークさがあります。

 

 

コロナ禍は、これまでとは環境が異なり価値観にずいぶん差異が生じてしまいました。

新しい分岐点と捉えて全体を俯瞰して見つめなおしたり、

内省したりすることで次に歩を進めた時期になった人も多かったかと思います。

 

行きたいと想う方向に進むとき、

情報を入れすぎると受け身になりすぎて足取りが重くなって気持ちが縮んでしまう場合もあります。

そんなとき、

前向きに作品をたくさん制作している姿や過程そのものをみて励まされて影響されました。

 

 

今回の展示会では真鍮作品だけではなく、はじめて陶器作品も展示されています。

最初に遠目から視界に入ったときは漂流物か出土した古代のものかと思わず勘違いしました。

 

 

陶器をよく見ると金色の異物が埋め込まれていますが、これらは普段の真鍮制作の過程で生まれた端材が元になっています。

それをあらかじめ加熱して球状にしておき、窯で焼く前の粘土に収めます。

陶器が焼かれるときにある一定の温度で真鍮が破裂します。

 

アクセサリーになれなかったカケラたちを捨ててしまうのではなく、

いわば、お墓を制作しようと思い立ったのが陶器をつくるきっかけなったそうです。

 

 

今回の展示タイトルは「brass tomb」です。

これは「真鍮の墓」という意味ですが、

実際に窯出しして眺めてみたら、むしろ陶器が真鍮のカケラたちの新しい住処になっていたそうです。

 

 

制作するときに何を大切にしているか伺うと後日、ステキなお返事をメールでいただきましたので以下に転載します。

 

 

『そもそもアクセサリー率いる「モノ」は御守り的な存在だったと知りました。

古いモノをみつめていると、あぁこの形、この模様は何かを表現したくてこうなったんだろうな。と思い、そこには愛があると感じます。

私の作るモノを手にとった人に愛や力を感じてもらえるよう、表現・制作しております。

金属が触れる温度に順応するように、私やあなたの温度が伝わり、あたたかい「モノ」になりますように』

 

 

単に、手を動かして制作しているのではなくて、

本当に気持ちで制作していることがとても伝わります。

 

【Review】

 

真鍮作品が多様化したのは、普段からの制作に加えて、

「こういうものが欲しい」というお客さんからの注文が増えていきヴァリエーションが多種になっていた頃合いに、

即興でもたくさん制作するようになったタイミングもあると思います。

 

相手との意思疎通からリクエストされる理想にできるだけ近づけるモノづくりと、

即興で感性をそのまま範疇の外から現実に向けて着地させていくモノづくり。

 

双方の感性がバランスよくつり合っているので、

作品展示したときに一同性のある厚みが強度として増幅された独特の風味が生じているのではないかと思います。

 

 

どちらの作品にも共通して感じたことがあります。

その都度、実物として仕上げることはその時どきの作家の「作品」は「記録」ともいえます。

 

その時その場での作品自体が作家の心象記録であることは羨ましいです。

それは、とても健全な自己投影だと映ったからです。

 

 

やや飛躍しますが、

可視化できない自己投影は常に虚無と隣り合わせになりがちでもあり、

理想を加工しすぎてしまった場合は、抽象されすぎて本質が原型ごと失われてしまう場合が生じます。

常日頃、制作・加工しているモノがフェイクではなくて、きちんとオリジナル作品として仕上がっていることに気づかされます。

 

 

毎日は日めくりカレンダーのように一方に向かって過ぎていきます。

けれど似たような日々でも、

循環してめぐる度にやはりどこか少しずつ感覚は変化していきます。

 

変化していくこと、保持していくこと。

開いていくこと、閉じておくこと。

 

鑑賞していると、それらの隔たりを適切にバランスよく素直に感知して内側に受け入れることが大切なことと気づかされます。

 

 

モノの価値は、単に高価なモノではなくて、

日々の暮らしのなかでどれだけ使ったり身につけたりして身近なものになっている愛着にこそ本質の価値があるのではないかと想います。

 

寛げるものや快適なものがいちばん居心地よく、

そんな気持ちが自然と暮らしを穏やかにしてくれると想います。

 

 

特に、立体作品は現場でしか発見できないことが多いです。

また1つずつ360度眺めることで面白さの魅力に気づきかされます。

今回の展示作品は眺めていると全体で呼吸しています。

ぜひ、その空気に触れてほしいです。

 

 

【開催のご案内】

コヤギ「brass tomb」展

場所:大須モノコト(本店)

期間:2021年 8月11日(水)〜9月5日(日)

定休日:火曜日 (イベントの出店などにより臨時休業あり〼)

時間:12:00-21:00

 

 

【Profile】

金工作家「コヤギ」

大須モノコトの店長をしています。店舗のアトリエで制作やワークショップも行っています。

 

【WEB SHOP / SNS】

BASE:https://koyagi0429.thebase.in/ 

Instagram:https://www.instagram.com/koyagiyuki/ (@koyagiyuki)

Twitter:https://twitter.com/yuketty (@yuketty)

 

【Work Shop / ワークショップ】

真鍮またはSilverのシンプルな指輪などを作るワークショップを開催しています。

真鍮:¥3,300(税込) / Silver ¥7,150(税込) おやつとドリンク付き

所要時間およそ90分

ご予約は、お電話またはSNSのDMからメッセージをお待ちしています。

 

【店舗情報】

大須モノコト(本店)

営業時間:12:00-21:00

定休日:火曜日 (イベントの出店などにより臨時休業あり〼)

住所:名古屋市中区大須2−25−4 久野ビル2階

地下鉄鶴舞線 大須観音駅 2番出口より徒歩2分

電話:052-204-0206

 

 

「GINGER モノコト」(姉妹店)

 

【information】

古来の薬の製法で作られるモノコト謹製ジンジャーシロップ。

2ヵ月の漬込みをしたその香辛料や唐辛子、生姜を全て粉砕してキーマカレーを作りました。

その名も「凄い!ジンジャーキーマカレー」普通のスパイスとは違う内側から効いてくる凄さ。

ジンジャードリンクと共に是非、ご賞味くださいませ。

 

Instagram:https://www.instagram.com/kissa_monokoto/

Twitter:https://twitter.com/osumonokoto

住所:名古屋市中区大須2-13-17

★地下鉄鶴舞線 大須観音駅 1番出口より徒歩3分

電話:070-6411-7533

 

 

 

 

 

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堅田 残光

堅田 残光

造文作家。 起源は滋賀県堅田町。東/南スラヴとの混血。 獅子座。O型。白痴派。ムダにもち肌。 ご執筆などのご依頼はこちらまでお願いいたします! → cotenpa@gmail.com
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