今回は1990年代の作品から最新作を構成し展示します。1990年代のヴィンテージ・プリントからは、大判カメラで撮影された黒海沿岸や東京近郊の郊外風景が展示されます。「WOrld’s End」(2019年)からはベルリンのストリートをとらえた諸作品を。最新作の各プリントは、抽象性を増した特異な浮遊感が特徴的です。また近年髙橋が取り組んでいるペインティング作品もともに構成します。時代や表現のかたちを超えて「STEW」(シチュー:煮込み料理)のように示される高橋恭司の世界。ここでブレンドされるさまざまな作品は、展示空間のなかで現在の世界とあらためて向き合い、新しい呼吸を始めます。
人は(僕は)、ある程度孤独でなければ、他にやさしくできない。
近すぎても、遠すぎてもいけない。
うわさ話であっても、科学的分析であっても、知ることはできない。
僕が長いあいだ写真撮影でやってきたことは、この距離のことなのではないだろうか。
剣道では(僕は子供の時剣道をしていた)間合い、という。
子供の剣道のつまらないところは、その後、勝ったりまけたりするところだが。
本当のところ、勝ったものはやがてまける。
結果がわからないと納得できないとは、やぼだということだ。
展示「STEW」について思いついた事など。(髙橋恭司)
プロフィール
髙橋恭司(たかはし・きょうじ)
1960年生まれ。栃木県益子町出身。写真家。作品集に『「The Mad broom of Life』(1994・⽤美社)『ROAD MOVIE』(1995・リトルモア)、『Takahashi Kyoji』(1996・光琳社出版)、『Life goes on』(1997・光琳社出版)、『煙影』『流麗』(とともに2009・リトルモア)、『SHIBUYA』(2016・BANG! BOOKS)『WOrld’s end 写真はいつも世界の終わりを続ける』(2019・Blue sheep)、『Midnight Call』(2021・TISSUE PAPERS)、『Lost Time』(2011・POST-FAKE)など多数。
近年の主な個展
2016「夜の深み」nap gallery
2019「WOrld’s End 写真はいつも世界の終わりを続ける」nap gallery
主なグループ展
1995「L’equipe du MOIS DE LA PHOTO A MONTREAL 1995」モントリオール
1996「ニュー・ジャパニーズ・フォトグラフィー1990’s[無意識の共鳴]」横浜市民ギャラリー
2000「Elysian Fields」ポンピドゥーセンター/パリ
2004「コモン・スケープ/今⽇の写真における⽇常へのまなざし」宮城県美術館
2017「いま、ここにいる」東京都写真美術館
2020「写真とファッション」東京都写真美術館
【展覧会名】
Kyoji Takahashi「STEW」
【開催日時】
2022-03-18 〜 2022-04-19
13:00~20:00
休館日:期間中無休
【ジャンル】
【会場】
BD gallery
愛知県名古屋市中区大須3-23-24blues dress L’ESPRIT NOUVEAU 2階
【料金】
入場無料
【詳細】
【お問い合わせ先】
BD Gallery:氏家
gallerykto.info@gmail.com
052-262-5140