例えば、人体を象った『刻々と…』の後ろに引いた手や足元は、消えて融けているようだ。右手はなにかを受け、顔は天を仰ぎ、その表情は降り注ぐ希望やよろこびに満ちているというのに。「生は負の要素を孕んで初めて成立し、意味を成すのでは」と湯浅未浦。「正と負の両方が備わっていて、初めて自分のイメージする生性が表現できる」前を向いて生きていることは、腐敗のベクトルを辿っていることと等しいのだ。そのほかの作品とて、人の形を借りてはいないが、すべて同じ心持ちで向かっている。
以前は、時間の赦す限りのめり込んで、作品から離れられなかったそうだ。「過呼吸のような制作スタイルでした」と本人。逆に今回、彫り返しの効かない一木造に向き合ったが、作品に触れている時間はこれまでより少なくなった。つくりやすかった、素直に木のすべて受け容れて、いちいち腑に落ちながら彫り進められたそうだ。「向こう(木)も、少しは自分を受け容れてくれた気がします」。
形をつくるだけが「つくる」ではない。形でない部分をつくりたい。現実的に彫るという行為を行いながらも、作家は形にならない何かを求めて時を刻み、思いを刻んでいる。
■写真キャプション
“刻々と…” 樟 184 x 45 x 74cm 2019
【展覧会名】
Yuasa Miho Exhibition
【開催日時】
2019-11-09 〜 2017-11-24
13:00 − 20:00
休館日:会期中無休
【ジャンル】
【会場】
L gallery
名古屋市名東区本郷 1-43The Apartment LiF F-1
【Webサイト】
【料金】
入場無料
【詳細】
■作家在廊日
2019.11.9(土)、17(日)、23(土・祝)
■アクセス
地下鉄東山線本郷駅下車、2番出口(北方面バスターミナル側)より徒歩7分。
エントランスの呼出しボタンF-1を押してお知らせください。
お車でお越しの方は、建物南の駐車スペース N にお停めください。
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